アメリカでは、ドメスティック・バイオレンスについて男たちの不満が高まつてゐる。女性に対する暴力を過大に計上した統計、女性に偏向した司法・警察行政。女に殴られる男はあとをたたないのに、だれも彼らの言ひ分を聞かうとしない。アメリカでは男と女が武装闘争を始めてゐる。
■インチキだらけの統計
アメリカではドメスティック・バイオレンスに関する被害統計が次から次へと発表される。ある調査によると、毎年200万人の女性がパートナーの暴行にさらされてゐる。400万人の女性が虐待を受けてゐるといふ報告も出てゐる。
しかし多くの男たちは、かうした数字にはまつたく根拠がないと考へてゐる。さらに男たちは、このやうな統計には女の男に対する暴力のデータが伏せられてゐると主張する。
アメリカでは、妻に虐待される夫はどの程度存在するのだらうか?
男と女はほぼ同じ割合で暴力を行使してゐるといふ統計もある。ある年には、18万人の女が夫のために負傷し、3万人の男が妻のために負傷したといふデータもある。夫から暴力を受けてDVシェルターに入つた女の50%は、夫に暴力を行使した経験を持つといふ調査もある。
司法省などが1995年から1996年にかけて実施した調査では、親密なパートナーによる身体的暴力を過去一年間に経験したといふ回答は、女が1・5%、男が0・9%だつた。
■妻と警察から脅かされる男たち
実際、アメリカの男たちは二重の脅威にさらされてゐる。妻と警察とによつて。
ある男は、妻に靴で殴られ電話を投げつけられた。妻がさらに向かつて来たため、彼女を平手で打つた。妻は亭主を攻撃するのをやめて、警察を呼んだ。警官が到着し、夫は体中にできた切り傷や打撲をみせ、何が起きたか説明しようとした。しかし警官は「あなたは妻を暴行した容疑で既に逮捕されてゐる」と言つた。
警察は、妻から虐待されてゐるといふ夫の訴へには耳をかさない。夫が警察に「妻に襲はれている」と電話をかけても無駄である。警官が来ても、「あんまり深刻に考へないように」と言つて笑ひながら立ち去る。
しかも、警察に電話する男はまれである。男は女に暴力を受けたことを恥ずかしくて人に話せないのだ。相談相手が欲しい時は、こつそり州外のセラピストに電話をかけたりする。男は沈黙の被害者だ。
歴史を振り返つてみても、妻に殴られた夫は無視されるか、嘲笑されてきた。フランスでは18世紀から19世紀にかけて、妻に殴られた夫は女の衣装を着せられ、ロバで村の中を引き回された。
■男は被害届けを出さない
男はたしかに肉体的には優位にたつてゐる。でも、フットボールで鍛へた大男が、妻に殴られても反撃しないといふこともある。女を殴つてはいけないと教へられてきたからだ。頭から血を流して病院に駆け込んでも、男はけがの原因を口にしない。そもそも、女の攻撃を違法行為とみなして届け出る男は少ないのだ。
かうした要素が重なつて、ドメスティック・バイオレンスでは被害者は女といふイメージが固定化してきた。そしてフェミニズムに名をかりた女性による暴力が正当化されてきた。
妻から虐待を受けた男はDVシェルターの門をたたくが、ここでも男は取り合つてもらへない。アメリカにはDVシェルターは二千軒もあるのに。ゲイのパートナーから虐待を受けた男だけがDVシェルターへの入所を許されてゐる。
■レスビアンの暴力
アメリカでは、男の暴力より女の暴力の方が深刻だといふ専門家もいる。「女も暴力を行使するといふ事実を直視しよう! 暴力をやめるよう女にも訴へよう」とかれらは提案する。
女の暴力は、レスビアンのパートナーに対しても発動される。あるレポートによると、レスビアンのコミュニティでは女による暴力行為が日常化してゐる。かうした事実がもつと表面化すれば、女性は攻撃的でないといふ神話は崩れ去るだらう。
夫に暴力を振ふ妻は、子供を虐待する傾向も強い。また高齢女性による暴力も指摘されてゐる。夫が先に肉体的な衰へをみせると、妻の虐待が始まるのだ。
ドメスティック・バイオレンスのことになると、女は、男の言ひなりになる清純な処女のイメージにしがみつく。そして自分たちの責任を隠蔽しようとする。アメリカにおけるジェンダー・ウォーは、アメリカ人の道徳観を崩壊させつつある。
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