昨年施行されたDV(ドメスティック・バイオレンス)防止法こそ、男を犯罪者に仕立てあげるためにつくられた法律と言へよう。アメリカ直輸入のこのDV防止法は、家庭で起こる夫婦の諍ひをすべて夫の暴力とみなす。そして妻に向かつて、「亭主を警察や裁判所にどんどん訴へろ」とけしかけるのだ。
それにしても、日本で制定されるフェミニズム絡みの法律は、どうしてかうもアメリカのサル真似が多いのだらう。アメリカではドメスティック・バイオレンス関連の法律は州ごとに規定されてゐるが、アメリカ各州の法律を継ぎ接ぎしてつくつたのがこのDV防止法だ。
「夫の暴力は犯罪である!」
「夫のやることはみな犯罪である!」
「夫は悪い人間である!」
かういふ三段論法で、夫に対する憎悪をかきたてさせ、夫婦を敵対させる。
これがDV防止法を制定した人間たちの意図である。
ある女たちは「被害女性を救済する」と称して、ドメスティック・バイオレ
ンスのシェルター(一時避難所)づくりを始めてゐる。これもアメリカのサル
真似だ。(ドメスティック・バイオレンスと言ひシェルターと言ひ、なにか自
分の頭で考へることができないのかね、この人たちは。)
フェミニズムの宣伝拠点としての役割を担つてゐるのがシェルターで、彼女たちは「被害女性」が来るのを手ぐすね引いて待つてゐる。フェミニズム教育を施してやらうと。入所者は、夫といふ存在がいかに邪悪な存在であるか、耳にタコができるほど聞かされることになる。
■取締り対象は夫だけといふ刷り込み
ところで、DV防止法では夫が妻の暴力を訴へることもできることを知らない人が多い。なぜ知らないかといふと、役人どもが国民に「DV防止法における取締りの対象は夫だけ」と刷り込みを図つてゐるからだ。
DV防止法は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」といふ正式名称からも分かるように、本来妻に対する暴力だけを対象にした法律ではない。夫が妻の暴力を訴へてもいい。あたり前である。刑法の傷害罪や暴行罪の適用を男だけに限定したらエライことになる。憲法違反どころの騒ぎぢやない。DV防止法は傷害罪や暴行罪を家庭に置き換へただけだから、男だけに適用するなんてことは初めからできないのだ。
そこで法案の制定者たちは考へた。そしてDV防止法の前文にさりげなくこんな文章を挿入した。
「配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、個人の尊厳及び男女平等の実現の妨げとなっている。このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要であり、このことは、国際社会における取組にも沿うものである。」
「配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり」といふ文言は、法律的にはなんの意味もない。しかし、「DV防止法における被害者は女性だけ」と印象づける効果は大きい。被害者が女なら、加害者は男しかゐないではないか。
次に法案作成者たちが計画したのは、男をDVで告発せよといふキャンペーンを展開することだつた。県庁や市役所に行つてみると分かる。窓口という窓口にドメスティック・バイオレンスの告発をけしかけるパンフレットが山と積まれてゐる。市町村の男女共同参画課が主催するDV告発奨励の講演会、セミナー、シンポジウムの案内・・・・。過激派もどきのアジビラに税金が湯水のやうに使われてゐる。
東京の文京区役所が作成したパンフレットを読んでみようか。
「夫やパートナーの暴力《ドメスティック・バイオレンス》は犯罪です」。
これが見出し。そして「肉体的暴力」「精神的暴力」「性的暴力」「子供を利用した暴力」に分けて30項目もの「暴力」の事例を列挙してゐる。
「精神的暴力」にあげられてゐるのはこんな事例だ。
・何を言っても無視する。
・交友関係や電話を細かく監視する。
・自分が家にいる時は外出しないよう要求する。
・生活費を渡さない、取り上げる。
・家庭の収入について一切知らせず、使わせない。
・ペットに危害を加える。
・「誰のおかげでたべられるんだ」などと見下していう。
「性的暴力」の項目では、
・見たくないのに、ポルノビデオ・雑誌を見せる。
・脅しや暴力で意に反して、性的行為を強要する。
なんていふのもある。
あれも暴力、これも暴力。夫婦間に生ずる不快な出来事、もめ事はみんな暴力。「暴力」といふ言葉のインフレーションである。
■性的行為を強要される男たち
ここに興味深いデータがある。総理府の男女共同参画室が平成12年2月にまとめた「男女間における暴力に関する調査」といふ。この中に「夫や妻から暴行等を受けた経験の有無」のアンケートがある。下にその結果を示さう。
▼命の危険を感じるくらいの暴行をうける。
何度もあった 一、二度あった
男 0.2% 0.4%
女 1.0% 3.6%
▼医師の治療が必要となる程度の暴行をうける。
何度もあった 一、二度あった
男 0.1% 1.1%
女 1.0% 3.0%
▼あなたがいやがっているのに性的行為を強要される.
何度もあった 一、二度あった
男 0.6% 3.4%
女 4.1% 13.6%
▼あなたが見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌を見せられる。
何度もあった 一、二度あった
男 0.3% 1.4%
女 0.5% 4.0%
▼交友関係や電話を細かく監視される。
何度もあった 一、二度あった
男 1.2% 5.6%
女 2.6% 7.0%
▼「誰のおかげで生活できるんだ」とか「かいしょうなし」とか言われる。
何度もあった 一、二度あった
男 1.1% 9.5%
女 4.4 11.5
▼大声でどなられる。
何度もあった 一、二度あった
男 5.0% 24.5%
女 16.3% 29.0%
▼何を言っても無視される
何度もあった 一、二度あった
男 2.9% 19.1%
女 4.4% 12.9%
この数字をよくみてほしい。「命の危険を感じるくらいの暴行をうける」と「医師の治療が必要となる程度の暴行をうける」では、男もそれなりの被害を受けている。決して無視できる数字ではない。
「あなたがいやがっているのに性的行為を強要される」「あなたは見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌を見せられる」にも御注目。男の「被害者」がこんなにゐる!
「誰のおかげで生活できるんだとか、かいしょうなしとか言われる」や「交友関係や電話を電話を細かく監視される」「大声でどなられる」になると、男と女の被害割合が近接してきて、「何を言っても無視される」に至つては、男の被害が上回つてゐる!
このアンケートは、政府がDV防止法を制定するために実施したものだ。ところが男女共同参画室は、「夫の被害はなかつたことにしようね」と言つて、そしらぬ顔をしてDV防止法を制定してしまつた。
このやうにして、暴行も、性的行為を強要されることも、ポルノ雑誌を見せられることも、電話を細かく監視されることも、どなられることも、「被害を受けるのは女だけ」といふデマゴギーが流され始めたのである。
■カマトト・フェミニズムが無視するフライパン事件
DV防止法を支へてゐるのは、か弱い女を男が暴力的に支配するといふフェミニズムがつくりあげたフィクションである。ある人はこれを「カマトト・フェミニズム」と呼んでゐる。
カマトト・フェミニズムは、横浜で起きた「フライパン事件」みたいな、自
分たちに都合の悪い出来事も一切無視する。
「フライバン事件」は、夫の浮気に端を発して、妻の夫に対する暴力が次第にエスカレートし、頭や腰をフライパンで殴つた上、ナイフでメッタ切りにして(三百箇所!)殺したといふ事件だ。妻による暴力は恒常化してゐて、「やめてくれ」「痛い」といふ男の悲鳴がいつも近所中に響きわたつてゐた。犯行に使はれたフライパンは形をとどめぬほど変形し、判決が「被告には粗暴な傾向が認められる」と言ふほど凶暴性を帯びた女だつた。
カマトト・フェミニストたちは考へたはずだ。この事件が男によつて起こされてゐたら、ドメスティック・バイオレンスのいい宣伝になつたのに、と。
あるフェミニストはドメスティック・バイオレンスを「洗脳」になぞらへて、次のやうに説明してゐる。
「洗脳されれば、人は積極的に洗脳して者に同調し、行動する。いままでの自分の誤りと愚かさを認め、外からのアドバイスがあっても耳を貸さず、むしろ外部の救出者を攻撃するようになる。換言すれば、被害者にこのような条件を強制すれば、支配され無力になった逃げるおそれのない従属者をつくることができるということである。」
まるで新潟で起きた少女監禁事件みたいな光景だ。このフェミニストによれば、日本の家庭は男の暴力が支配する監獄であり、男はみんな佐藤宣行である。
かつてのイギリスには、「家庭はひとつの城郭で、国王もそこに足を踏み入れることはできない」といふ言ひ伝へがあつた。現代のフェミニストたちは、家庭を城郭ならぬ監獄に仕立て上げた。
国家が家族同士の告発を奨励するといふのは、かつての共産主義国が家族の密告を奨励したのと同じやうに、社会の狂気の一種である。
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