性教育より危ない「性育」
『ラブ&ボディ』に懲りない厚労省


 中学生にセックスを奨励する例の性教育冊子『思春期のためのラブ&ボディBOOK』が絶版になるといふ。(八月七日付産経新聞)

 厚生労働省が母子衛生研究会なる関連団体につくらせたこの有害冊子は、おとなのオモチャ屋に置いてあっても不思議でないハレンチ印刷物で、絶版どころか配布した130万部をすべて回収して焚書にすべき代物だ。それなのに、回収するのは「教育現場などに残っている在庫数千冊」だけといふから馬鹿にしてゐる。

 有害冊子を中学生に配ったといふ意識が関係者にまるでないらしいので、母子衛生研究会にどうして130万冊を全部回収しないのかと電話で聞いてみたら、「あとは教育現場のご判断で」とのたまうた。

 さらに問ひ質すと、担当者は、当初はこの冊子を中学三年生に卒業記念として配布する予定だったと明かした。卒業記念! つまり、はじめは「セックスは中学を卒業するまで待ちませうね」といふ多少の配慮はあったらしいのだ。ところが「セックス絡みの問題は夏休み期間中に起きがちだ」といふ声が一部から挙がったため、一学期中に新三年生に配布することに変更したのだといふ。

 コトが起きやすい夏休み期間中にセックスと避妊具の使ひ方に習熟してもらはうといふこの涙ぐましい教育的配慮。全国百余万の中学生は今頃このセックス指南書を片手に「ひと夏の経験」に励んでゐるはずだ。

 『思春期のためのラブ&ボディBOOK』の内容はひどすぎるといふ山谷えり子議員の指摘に対して、厚生労働省の岩田喜美枝・雇用均等・児童家庭局長は以前国会で次のやうに答弁した。

《中高生に関心を持って読んでいただく、そして読みやすい、そういう形で、正しい性知識や望まない妊娠を防止するための記述の仕方として、特に問題があるというふうには思われませんでした。》《このブックレット自体、たくさんある情報、たくさんある教材の中の一つだというふうに思いますので、内容について、科学的ではない、ゆがんでいるといったようなところはないという印象を持ったわけでございます。》

 厚生労働省が今もこの認識に変はりはないことは、同じ産経記事の次のやうなくだりを読めば分かる。

《中高生など十代の人工中絶増加に歯止めをかけるため、厚生労働省は六日、新しい性教育プログラムの開発に乗り出す方針を固めた。幼いころから男女の違いを認め合う意識を育て、責任ある性行動をとる学習プログラムを開発。「性育」(仮称)と名づけ文部科学省に呼びかけて教育現場での導入をめざす。同省は少子化対策の柱の一つとして平成十五年度予算の概算要求に盛り込む。》

 「性育」? 不思議な言葉だ。 記事には新しい性教育プログラムと書いてあるけれど、実は新しくもなんともない。「性育」はまさしく『ラブ&ボディBOOK』路線そのものなのだから。

 厚生労働省と文部科学省のフェミニストがこれから本格的にやらうとしてゐるのは「リプロダクティブヘルツ・ライツ」の思想に基づいた性教育である。つまり、性と生殖に関する権利と自由。 セックスのことは自分で決める、子供を産む産まないは女が決める、中絶をするしないは女の自由。かうした思想に基づく性教育である。従って、女子中学生が自由にセックスを楽しむにはピルや避妊具の使ひ方を知らなければならない、中絶する時も政府や医師や男の圧力から自由でなければならない、といふことになる。

 避妊具の普及と少子化の問題は本来まったく関係がない。避妊具の普及が多産の抑制に働いたのはむかしの話で、今の少子化は明らかに別の要因から起きてゐる。だから「性育」プログラムがなぜ《少子化対策》になるのか誰しも不審に思ふ。

 でもフェミタリアンはマジメな顔をして次のやうに主張する。女性が本当に性と生殖に関する権利を獲得し、女性が働きながら好きな時に子供を産むことができるやうになれば、少子化問題は解決する、と。

 中学生がピルの正しい使用法を学べば、少子化問題は解決する。なにやら、風が吹けば桶屋が儲かるみたいな話だが、本当だらうか?

 「性育」が少子化問題の解決に役にたたないことは私が保証する。でも、「性育」のおかげで儲かる桶屋がどこかに存在することは確かである。『ラブ&ボディBOOK』を作成した母子衛生研究会なんかもそのひとつかもしれない。

 驚くべきことに母子衛生研究会のホームページには、ダイヤルQ2を使ったテレホンサービスまであって、「性の悩み青春ほっとダイヤル」といふコーナーでは『ラブ&ボディBOOK』まがいのハレンチなテープを流してゐる。情報料は一回二百円。ダイヤルQ2を使った手法といひテープの内容といひ、フーゾクそのもの。実はこのコーナーを運営してゐるのは別の民間会社で、厚生労働省がフーゾクを儲けさせてゐるといふ図式が浮かびあがってくる。

 フェミニズムといふのは行きつくところカネとセックスであるといふ私の持論をまさに体現してくれてゐるのが、この母子衛生研究会といふ厚生労働省の天下り団体なのである。

 

 
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