千葉県男女共同参画条例案は九月二十五日、千葉県議会に上程された。
上程された条例案はほとんど原案のままで、わずかに、入札に関わる条項だけ削除されている。その他は、「家族経営協定」の条文から家族経営協定の文言だけ削り、あとは全文残して、実質的な内容は変わらないという姑息な「修正」個所が一カ所あるだけ。つまり、「120%条例」を目指していた堂本知事はほぼ目標通りの「117%」条例を議会に上程することに成功したというわけだ。
それにしても、保守王国千葉県で、どうしてこのように過激なジェンダーフリー条例案が出現してしまったのだろうか?
実は、千葉県の自民党県議の大多数はこの条例案に反対している。千葉県議会九十七議席中、自民党の議席は六十七を占める。だから自民党が反対すれば条例は成立しない。しかし、事はそう簡単ではない。なにしろ堂本知事が、千葉県政を牛耳っている自民党のボス県議と結託して条例を通そうと画策しているのだから。
このボス県議一派は自民党千葉県連の執行部も押さえていて、自民県議に対して、堂本知事の作った条例に賛成するよう圧力をかけている。自民党県議の大多数が反対なのにもかかわらず、堂本知事が原案をほとんど修正しないという強気な姿勢の裏には、こうしたボス県議の力強い存在がある
ボス県議は千葉県の土建業界の親分でもあり、県議会に国旗を掲揚することを提案した人物でもある。堂本知事が、どのようにこのボス県議を籠絡したのかということは、いづれ改めてレポートするが、なにしろここは有名な金権千葉であることを忘れないでほしい。
新聞各紙は、県の条例案の修正をめぐり自民党と県側が激しい応酬をしたように報じたが、猿芝居もいいこところである。
某所が自民党県連に提出した交渉用の資料(修正案等)の内容は、そのまま堂本知事側に筒抜けになった。渡したのは県連幹部である。交渉する相手に自分たちの交渉用資料を渡す馬鹿はいない。これでは交渉になるわけもない。自民党は交渉相手にはじめから手の内をさらけ出してしまった。
自民党県連としては、堂本知事に多少譲歩させたという形だけつくればよかった。県民が条例案の内容さえ知らないうちに堂本知事と自民党県連の間で展開された出来レースである。
もうひとつ、金権千葉らしいお話。条例案が上程される前日の九月二十四日、地元紙「千葉日報」に全面見開きの記事広告が出た。
「男女共同参画社会の実現目指し、県が条例案提出へ」と二ページぶちぬきの見出し。堂本知事の大きなカラー写真。堂本知事や渥美雅子(千葉県男女共同参画推進懇話会座長)らが座談会形式で、条例案の宣伝にこれ努めている。
出席者の中には千葉日報の会長までいて、「県民の意見の凝縮された、地に足の付いた条例案ということですね。とても希望が持てます。早く成立して、具体的な施策を展開していただきたいと思います」と、おべんちゃらを述べている。
この記事広告のスポンサーはもちろん千葉県。地方紙が自治体の広告をほしい気持ちはよく分かるけれど、これだけ反対されている法例の宣伝に、トップまで登場させて提灯を持つ新聞社はあんまりないんじゃなかろうか。
土建屋の親分が超過激なジェンダーフリー条例を通すために子分どもを脅したり、広告ほしさの地元紙の会長がジェンダーフリー条例の提灯広告に登場したり、金権千葉はなにからなにまで異様である。 かくて、金まみれになった千葉県男女共同参画条例案は県民不在のまま、県議会で「審議」が始まる。
数日前、千葉県の県議全員の事務所に、次のようなファクスが送られてきた。
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「千葉県男女共同参画条例の促進に関する条例(案)」についての質問状
千葉県議会議員の皆さま
千葉県男女平等条例ネットワーク
千葉県政におきましては県民のために日々御尽力いただいていおりますこと、心より感謝申し上げます。私たちは、県民の意見を反映した男女共同参画を推進する県条例の制定を目指して千葉県全域から集まった、県民ネットワークです。
さて、9月11日に公開されました「千葉県男女共同参画に(ママ)促進に関する条例(案)」について何点か質問させていただきたく存じます。大変にご多忙のところ恐縮ではございますが、皆さま方のご意見をお伺いさせていただきますようお願い申し上げます。
なお同じ内容の質問状を、10月に行われます参議院議員補欠選挙の候補者にも送られ(ママ)ていただきました。
ご記入いただきました用紙を、9月25日(火)までに、下記まで郵送あるいはファクスでご送信いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
ご回答いただきました内容に関しましては、集計整理したうえで、ホームページ、新聞紙上などにおきまして、個人名を含めて公表させていただきます。また、ご回答なき場合は、無回答として同様に個人名を含めて公表させていただきます。ご了承ください。
千葉県男女平等条例ネットワーク事務局
〒264ー0032
千葉市若葉区みつわ台5-12-1-304
FAX 043-254-7748 出納いずみ宛
(1)条例(案)の内容について質問させていただきます。
条例(案)に、(A)同意する (B)一部条件付で同意する (C)同意しない
(2)(1)で(B)一部条件付で同意するとお答えいただいた方に質問させていただきます。修正が必要であると考える箇所について具体的にお書き下さい。
(3)(1)で(C)同意しないとお答えいただいた方に質問させていただきます。条例(案)の同しない(ママ)理由を具体的お書き下さい。
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アンケートで、回答内容と個人名を公表するというのは、政治家に対するアンケートではよくあることだ。だが法案に関するアンケートを実施するのが、マスコミや民間団体などではなく、法案を策定した「当局」だと話はちょっと違う。ところがこの千葉県男女共同参画条例についてのアンケートは条例を策定した堂本知事と千葉県が事実上実施したものなのだ。
この「千葉県男女平等条例ネットワーク」なる団体は堂本知事の肝いりで五月に発足した組織。発足当初は県男女共同参画課が事務局を兼ねていた。出納いずみ氏は事務局長で、別に「市民ネットワークちば副代表」などの肩書きもある。堂本知事の最大の支持基盤が「市民ネットワーク」で、出納氏は堂本が昨年知事選に出馬した際、「勝手連」の一員として堂本候補を応援し、現在も堂本県政を支える有力メンバーの一人。つまり「千葉県男女平等条例ネットワーク」は、堂本知事の指示によって動く条例特別部隊なのだ。
アンケートが堂本知事の意向によるものであることは県議らもよく知っている。「堂本め、俺たちを脅迫しやがって」と怒ってアンケートを破り捨てた自民党議員も少なくない。
堂本知事の脅しはこれにとどまらない。千葉県では十月に井上裕・前参議院議長辞任を受けた参議院議員補欠選挙、来春には県議選が行われるが、堂本知事が自民党県議と会う時、必ず口にする脅し文句がある。「男女共同参画条例に反対して、女性票は大丈夫でしょうか?」
千葉県の条例案には、事業者をがんじがらめにする条文が盛り込まれているため、県下の企業からも不安の声が出ている。そこで、地元銀行のトップが条例に反対しそうだと聞くや、堂本はすぐ本人に電話を入れ、「男女共同参画条例に反対して女性の預金者が減らないでしょうか?」と御忠告に及ぶ。
ジェンダー・フリー運動の行き過ぎに警鐘を鳴らす民主党の「健全な教育を考える会」(会長・松崎公昭衆議院議員)は、堂本にとって脅威の存在だ。そこで彼女は同会のメンバーである国会議員七十八人に「千葉県の男女共同参画条例は過激なジェンダー・フリーではありませんから、反対しないで下さい」と電話をかけまくったという。そしてその裏で、全国のフェミ組織から七十八人の議員の事務所にファクス攻勢をかけ、メンバーの切り崩しを図っている。
条例案の内容を堂本知事はできるだけ県民に知らせまいとしてきたが、公開要求の声に押されて九月十一日に渋々、県のホームページに掲載した。しかし大半の県民は相変わらずフェミナチ条例案の内容を知らない。
千葉県の男女共同参画条例は「120%条例」だ。堂本知事は「日本一の男女共同参画条例をつくる」と豪語し、100%完璧な男女共同参画条例を目指したが、千葉県男女共同参画推進懇話会・条例専門部会で検討する過程で、政府が「男女共同参画社会基本法」を策定する際、問題があるとして外された条文や、他府県が男女共同参画条例を策定する際に「憲法違反の疑いがある」と外された規定なども、みんな入れてしまった。その結果、「120%条例」が出来上がったという次第なのだ。
堂本知事は、早くから自民党の堂本寄りの一部の幹部と取引し、県の条例案を「微修正」して議会を通過させることで合意していた。「120%条例」を微修正して、115%になろうが117%になろうが、堂本にとっては痛くも痒くもない。で現在、115%にするか117%にするかで自民党と水面下の折衝を続けているのだが、いまだ最終合意に至っていない。
一方、自民党県議たちも、この女が何を考えているかようやく分かりかけてきた。そして堂本知事と自民党一部幹部による密室取引への批判が高まる中、県側は十八日、議会に対して「千葉県男女共同参画条例の促進に関する条例案」の趣旨説明をした。しかし、その場に条文は提示されなかった。
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