配偶者特別控除の廃止で笑ひがとまらないフェミニスト


 このやうなことでいいのだらうか。配偶者特別控除を廃止するといふ税制改革のことである。千数百万もの主婦世帯が年間五万円も十万円も増税になるといふのに、配偶者特別控除を廃止することがいいのか悪いのかといふ議論は皆無。専業主婦撲滅の欲求にかられた政府部内のフェミニストと、増税ができれば財源はなんでもいい財務省が仕組んだ配偶者特別控除の廃止をこのまま認めてよいのだらうか。フェミニズムに蝕まれた政府が、専業主婦壊滅に向けて斧を振り上げたのが今回の税制改革だといふ事実を主婦たちは自覚してゐるだらうか?

 小泉首相は税制改革問題も丸投げした。丸投げした先がフェミニストの巣くふ政府組織だからたまらない。この経済無知の丸投げ宰相は、主婦の待遇といふ国家社会の根幹に関はる問題まで丸投げしてしまつた。

 フェミニスト(男む含む)が配偶者控除と配偶者特別控除をつぶすために持ち出したのが「男女共同参画社会」といふスローガンだつた。政府税制調査会(基礎問題小委員会)での次のやうな発言はその典型だ。

《女性の社会進出、男女共同参画社会にしていこうという流れの中で、個人単位の課税の考え方をとっていくのがまともな行き方かなと思います。例えば、配偶者特別控除というものはこの辺で見直してもいいのかな、あるいは配偶者控除と扶養控除をくっつけてしまうという考え方もあるのかな、ということを感じます。》

 政府税制調査会は、国民の知らない間に男女共同参画会議に変身したらしい。このフェミニズム税調は平成十四年六月に「あるべき税制の構築に向けた基本方針」といふのを発表してゐる。

《諸控除の見直しに当たっては、男女共同参画社会の進展や雇用慣行の変化等のライフスタイルの多様化、少子・高齢化の進展といった構造変化に対し、税負担に歪みが生じないような、また、経済社会の中で行われる個々人の自由な選択に介入しないような中立的な税制とすることも重要である。》

 配偶者特別控除は、税負担に歪みを生じさせ、他の扶養家族控除ともバランスを失し、社会活動に中立でないから、廃止するのが適当であると、フェミニズムの観点から集中砲火を浴びせる。

 フェミニズム汚染は政府税制調査会だけではない。経済財政諮問会議のフェミ汚染ぶりは政府税調より際立つてゐる。経済財政諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」にはこんなことが書かれてゐる。

《男女共同参画社会の実現が重要な課題であり、仕事と育児の両立のための環境整備を進めるとともに、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に中立的な社会制度の構築を進める。》

《就労などの選択に歪みを与えないよう、配偶者に関する控除等に関し検討する。検討に当たっては、社会保障制度見直しとの関連にも十分配慮する。》

 ここでも、就労選択に「歪み」を与へるとして配偶者控除に攻撃の矛先が向けられる。主婦のみなさん、専業主婦が配偶者控除や配偶者特別控除を受けて家庭にとどまることは「歪み」なんださうです。

 一方、内閣府・男女共同参画会議の影響調査専門調査会は平成十四年四月に発表した「『ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム』に関する中間報告」で次のやうに言ふ。

《我が国では所得課税は個人単位となっているが、配偶者控除、配偶者特別控除は、配偶者の所得がない場合や低い場合などに適用されるという点で世帯への配慮が含まれている。しかも、両控除は、本人分の基礎控除と同額であり、合計すれば最高二倍となり、過大になっている。》

《配偶者控除、配偶者特別控除を設定している現行制度は(中略)就業に中立的ではない。更に、配偶者による家事労働というサービスを無償で享受しているのにも関わらず、かえって減税されている、といった考え方もある。》

《或いは、配偶者が専業で家事に従事すれば、分業の利益が大きいと考えられるので担税力があるのに、かえって減税されている、という考え方もある。(中略)配偶者控除、配偶者特別控除制度は見直すべき時期に来ている。》

 専業主婦家庭は家事労働といふサービスを無償で受けてゐるのに減税されてゐるのはケシカラン、家事労働にも税金をかけろと煽り、配偶者控除・配偶者特別控除は過大であり、就業に中立的でなく、就業調整を引き起こす要因となつてゐるから、見直すべきであるといふ。首相直属の男女共同参画会議が専業主婦撲滅の旗を振つてゐる。

 男女共同参画会議・影響調査専門調査会会長の大澤真理女史は、四月二日に開かれた政府税調・基礎問題小委員会で、この中間報告について説明した。そして彼女は近著の中で、「税調の石光光会長が税調基礎問題小委員会として配偶者控除などを縮小する方針を打ちだしたのは、このヒアリング終了直後である」と得意気に記してゐる。

 配偶者控除が創設されたのは昭和三十六年。白色申告者に事業専従者控除が創設されたことことから、給与所得者と事業所得者の控除のバランスをとるために設けられた。「妻の座」が税法上認知されたともいへる。配偶者はそれまで扶養控除の対象でしかなかつたが、この税制改革で配偶者控除は扶養控除から独立し、控除額も基礎控除と同額に設定された。

 配偶者控除の考え方の根底にあるのは、妻は夫に扶養されてゐるのではなく、夫の所得は妻とともに稼得したものといふ思想である。妻の家庭における働きに税制上の価値を認めたのが配偶者控除だつた。だから、配偶者控除があることによつて妻が経済的に夫の従属状態に置かれるといふフェミニストの主張はウソである。繰り返すが配偶者控除は扶養控除とは違ふのだ。

 配偶者特別控除が導入されたのは、配偶者控除ができてから二十六年後の昭和六十二年。妻がパートとして働きやすい環境をつくるといふのがその目的だつた。パートが家計補助に果たしてゐる役割を考へれば、現在でも配偶者特別控除のもつ意味は大きい。

 配偶者控除と配偶者特別控除の額が三十五万円から三十八万円に引き上げられたのは平成七年。わずか七年前のことだ。村山内閣は消費税を三%から五%に引き上げる見返りとして先行減税を行ひ、所得税の各種控除も引き上げた。その時、配偶者控除や配偶者特別控除を廃止しろなんて声はどこからも聞こえなかつた。

 配偶者控除と配偶者特別控除に対する敵対的な声が政府部内で出始めたのは、関係機関の中枢にフェミニストが入り込んだからである。男女共同参画社会のスローガンは政府公認思想となつた。

 政府は「公正・活力・簡素」といふ税制の基本原則を掲げてゐる。所得税の各種控除を撤廃して税体系を簡素化しませうなどともつともらしいことを言ふが、今回の税制改正で決まつたのは配偶者特別控除の廃止のみ。主婦が物言はぬのをいいことに、配偶者特別控除が狙ひ撃ちされたと言つていい。

 所得税の控除には、今日ではほとんど意味のないものもある。昭和二十六年に創設された勤労学生控除などはまさにそれだ。しかし役所はあつてもなくてもいい制度には手をつけないといふ不思議な習性を持つてゐる。悲しいことだが、我が国の税制改革には場当たりと御都合主義だけが支配してゐる。

 フェミニストは配偶者特別控除が女性の社会進出を妨げてゐると主張する。そして、百三万円の「壁」を撤廃しろと叫ぶ。「壁をなくする」といふのは、その人に有利な結果をもたらす時に使ふ言葉だらうに、この場合はまつたくあべこべ。「アンタたちのために税金を上げてやる」といふのだからフェミニスト的陰湿な仕打ちだ。

 フェミニズムが国家宗教となつたスウェーデンでは、税法上から夫婦といふ概念が完全に消滅した。スウェーデンでは家族は単なる個人の集まりにすぎない。

 配偶者特別控除の廃止は、フェミニストが目論む専業主婦絶滅計画の一里塚である。無知無能な丸投げ宰相のおかげで体制内フェミニストは、専業主婦抹殺に向けた最初の目標をやすやすと達成することができた。笑ひがとまらない政府内フェミニストは「さあ、今度は配偶者控除と年金の第三号被保険者制度の廃止」と次なる作戦に取りかかってゐる。

 さういへば、政府税調ではこんな意見も出てゐた。

《さっき男女共同参画社会論があったけれども、僕も個人的にはあまり納得しないけれども、しかし同時に、これは我が国の時代の風潮であることは歴然たるものなんだ。僕は怖い――怖いと言ったら悪いけど、この議論をやる女性をたくさん知っているんだ。こんなものの前に出てみなさいよ、えらいことだから。僕は納得しないよ。しかし、あなたが言っていることはわかるよ、時流に乗ろうかというだけの話だ。》

 男女共同参画社会論は「怖い」が、「時流」だから乗る。こんなマヌケどもが委員として居並んでゐるのだ。フェミニズムのワルたちがやりたい放題やれるわけだ。
 
  
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