正気の沙汰ぢゃないドメスティック・バイオレンス条例
今度は自民党千葉県連がフェミナチ条例案を策定



 ほとんど正気の沙汰ぢゃない。自民党千葉県連がドメスティック・バイオレンス条例案をつくつた。http://www.chibajimin.jp2.net/ 
このドメスティック・バイオレンス条例案を男女共同参画条例案とセットにして、二月の千葉県議会に提出するつもりらしい。

 自民党のドメスティック・バイオレンス(DV)条例案は、DVの加害者(大体男だ)を頭から犯罪者扱ひし、一方でDVをメシのタネにしたいフェミニストには至れりつくせりの内容が盛り込まれてゐる。堂本知事も自民党が自分の代はりにこんな立派なDV条例をつくってくれて、今ごろ随喜の涙を流してゐることだらう。

 国のドメスティック・バイオレンス法は存在するけれども、地方自治体がドメスティック・バイオレンス条例は制定した例はない。堂本知事のフェミナチ条例がポシャッたと思つたら、今度は自民党のフェミナチDV条例だ。県民無視の馬鹿げきつた成り行きに、千葉県民もあきれ返つてゐる。

 国のDV法が制定されて以来、フェミニストたちはDV告発を運動拡大に最大限に利用してきた。ちゃうどアメリカのやうに。自治体がDV条例をつくり出したら、火に油を注ぐ結果になるだらうことは子供でも分かる。

 昨年、ある自民党県議は堂本知事がつくつた男女共同参画条例案について、「こんな条例を通したら千葉県は全国の笑ひものになる」と言つた。しかし、本邦初「DV条例・男女共同参画条例の二点セット条例」を議会で通したら、全国から笑ひものになるどころぢゃすまない。

 自民党が恥をかくのは当然の報いだが、DV条例が全国の自治体に次々に波及したらどうする。全国のマヌケな自治体は、男女共同参画条例と同じく金太郎アメみたいなDV条例を競って製造するだらう。DV法が男女の離間・敵対思想を秘めたフェミナチ法令であるといふ自覚さへない無知な議員たちには、怒りを通り越して哀れさへ覚える。

 それでは、自民党版DV条例に検討を加へるとしよう。男女共同参画条例案は後回し。次に全文を掲げる。

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【千葉県ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護等
に関する条例(案)】

○目次
 第一条 目的
 第二条 定義
 第三条 県の責務
 第四条 基本計画の策定
 第五条 被害者への支援等
 第六条 転居先の秘匿
 第七条 拠点施設の整備
 第八条 教育及び啓発
 第九条 委任

(目的)
第1条 この条例は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号。以下「法」という。)に基づく県の責務を的確に果たすとともに、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する県の施策の基本的な事項を定めることにより、ドメスティック・バイオレンスを根絶し、個人の尊厳を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、「ドメスティック・バイオレンス」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上、婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)又はかつて配偶者であった者に対する暴力的行為(身体的又は精神的苦痛を与える行為をいう。
以下同じ。)及び当該暴力的行為に付随して起こる子への暴力的行為をいう。
 2 この条例において、「被害者」とは、ドメスティック・バイオレンスの被害を受けた者をいう。
(県の責務)
第3条 県は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
 2 県は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生について、県民、事業者、民間の団体及び市町村との連携を図るものとする。
 3 県は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する市町村の措置及び民間の団体の活動を総合的に調整するものとする。
(基本計画の策定)
第4条 知事は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、ドメスティック・バイオレンス対策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定め、これを公表しなければならない。
 2 基本計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
一 ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する施策の大綱
二 被害者の保護及び加害者の更生に必要な施設及び体制の整備に関する事項
三 前各号に掲げるもののほか、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
(被害者への支援等)
第5条 県は、法に定めるもののほか、ドメスティック・バイオレンスによる被害の相談に応ずるとともに、ドメスティック・バイオレンスの被害を受けた者(以下「被害者」という。)の求めにより、次の各号に掲げる支援を行うものとする。
一 被害者の安全を確保するための一時保護
二 被害者が精神的又は経済的に自立して生活することを促進するための支援
(転居先の秘匿)
第6条 被害者は、法第10条の規定による保護命令が発せられた場合においては、当該保護命令を受けた者からの追求を防ぐため、転居先を当該保護命令を受けた者に対して秘匿することを知事に書面で申し出ることができる。
 2 知事は、前項の申出があったときは、直ちにその旨を関係市町村長に通知するものとする。
 3 被害者は、第1項の申出の事由が止んだときは、速やかに知事に書面で届け出なければならない。
 4 知事は、前項の届出があったときは、直ちにその旨を関係市町村長に通知するものとする。
(拠点施設の整備)
第7条 県は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に関する措置及び民間の団体の活動の拠点となる施設を整備するものとする。
 2 前項の施設においては、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生に資するため、次の各号に掲げる業務を行うものとする。ただし、ドメスティック・バイオレンスの被害に係る当事者間の調整(あっせん、調停又はこれに類する業務をいう。)は行わないものとする。
一 第5条に規定する被害者への支援等
二 被害者の心身の健康を回復させるための指導
三 被害者を支援する活動等に従事する人材の養成及び研修
四 加害者の更正のための指導方法等に関する調査研究
五 加害者に対する更生のための指導等
六 県民、事業者、民間の団体及び市町村に対する必要な情報の提供
(教育及び啓発)
第8条 県は、ドメスティック・バイオレンスの防止に関する県民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
 附則
 この条例は、平成15年4月1日から施行する。

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 全9条もある堂々たる条例である。堂本知事が提出してゐる男女共同参画条例案 http://www.pref.chiba.jp/syozoku/b_dankyou/main/laws/jyoureian140918.html
のDV条項をそのまま取り込んだ上で、自民党が大幅に条文を加へて条例が出来ってゐる。分量は堂本案のDV条項の3倍以上。

 まずこの条例の名称に注目してみたい。「千葉県ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護等に関する条例(案)」。被害者の保護の後になぜか「等」が入ってゐる。

 国のDV法の正式名称は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」。「被害者の保護」で終ってゐる。「等」の意味はなんだらうと思つてよく読むと、「ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護並びに加害者の更生」といふ文言が繰り返し出てくる。さうか、「等」とは「加害者の更生」のことだつたのか。数へたら、「加害者の(に対する)更生」といふ文言が11カ所もあつた。全9条の条例に「加害者の更生」が計11カ所。

 なぜこれほど「加害者の更生」にこだはるのか? 教へよう。それは、DVの加害者はある種の精神病者や犯罪者と同じやうに常習性があるから矯正・指導しなければならないといふ思想に立脚してゐるからだ。

 堂本知事の男女共同参画条例案には加害者に言及した条項はない。従って、堂本案に比べると、加害者を犯罪者扱ひする姿勢をより鮮明にしたのが自民党案と言へると思ふ。現行のDV法では、加害者を被害者に近づかせないといふ措置が中心だが、こんなDV条例が制定されたら加害者は矯正収容所に隔離されかねない。

 次に第4条。これも堂本案になく自民党が付け加へた条文。「知事は・・・ドメスティック・バイオレンス対策に関する基本的な計画を定め、これを公表しなければならない」。DV条例をデッチ上げただけは足りないらしく、DV基本計画までつくりませうだと。一体正気か。

 第6条の「転居先の秘匿」も自民党が入れたもの。転居先の秘匿といふのは現在でもやつてゐることだが、このやうな細かなことをわざわざ条例に入れる意図はなにか。国のDV法と同じことを言つたんじゃ条例をつくる意味がないといふので、「独自性」を発揮するために入れたんだらう。

 第7条の「拠点施設の整備」も自民党独自のもの。ここでは、県が「民間の団体の活動の拠点となる施設」を整備してさしあげると規定してゐる。堂本知事はあやしげなフェミニズム団体のDVシェルターに税金を供与してゐるが、今は運営資金を補助するのにとどまってゐる。それをハードの面倒までみてやるといふのだ。フェミニズム団体の喜ぶまいことか。ハードを税金でつくればDV予算もケタが違つてくる。これでまた千葉県の累積赤字が増える。

 さて、以上の説明でお分かりのやうに、千葉県DV条例案は堂本案にあつた部分よりも自民党がつけ加へたオマケの部分の方がヒドイ。タチが悪い。私は堂本知事の男女共同参画条例全体と同時にDV条項の部分もさんざん批判してきたが、自民党のDV案を読んでその過激ぶりにあきれた。

 国のDV法策定に関はったのが参議院議員時代の堂本知事で、だから堂本知事は千葉県にDV条例を作るのが夢だつた。しかし男女共同参画条例づくりに着手してみると、DV条例をつくることまで手が回らないと、結局他府県と同じやうにDV条項は男女共同参画条例の中に盛り込むことになつた。

 かうして堂本版DV条例構想は日の目をみることはなかつたが、堂本知事の夢を叶へてくれるサンタクロースが忽然と現れた。自民党。自民党版DV条例は男女共同参画条例案とセットみたいになってゐるが、もしDV条例だけ千葉県議会に上程されたらどういふことになるか。自民党から過激派くずれの市民ネットワークから共産党まで全会一致で議会を通過するのはまず確実である。千葉県民にとつては悪夢に等しい。

 自民党千葉県県連のホームページには、DV条例案・男女共同参画条例案とともに、条例案を作成するに到った経緯・意図のコメントも掲載されてゐる。そこにこんなくだりがある。

《この作業のなかでまず始めに、ドメスティック・バイオレンスについては、国にいわゆるDV法があることから、男女条例に含めるのではなく、法に基づいた別の条例にすべきと考え、二本立てで検討を進めました。》

 DV法があるからDV法に基づいた条例を制定するといふもっともらしい理屈。フェミニストが主張するなら分かるが、千葉県ではバッジをつけた自民党議員たちが大真面目に主張してゐる奇観。

 国のDV法はその中に自治体の役割規定なども含んでゐるから、自治体がDV条例を制定する必要はまったくない。現にいま自治体はDV条例なしでDV行政を実施してゐるではないか。

 周知のやうに、男女共同参画条例には、自治体に「計画」の策定を求める条項がある(都道府県は義務、市町村は任意)。それで内閣府・男女共同参画局は「計画」は「条例」の意味だと言ひくるめて自治体に男女共同参画条例づくりをけしかけてゐるわけだ。

 ところがDV法には、自治体に「計画」を求める条文すら存在しない。だから、あのウソを得意とする男女共同参画局でさへ、DV法があるからDV条例をつくれと自治体に言ふこともできないし言つたこともない。

 ところが千葉県では自民党が率先して「DV法に基づいた条例」をつくつてくれるといふのだから、男女共同参画局も「カモがネギそ背負つてきた」と高笑ひだ。

 堂本知事のジェンダーフリー条例に「ノー」と言って「良識」を示した自民党が、破廉恥で愚劣極まるDV条例に情熱を傾けてゐる光景は不思議としか言ひ様がない。どうしてこのやうなことになつてしまつたのか?


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