フェミニスト議員たちが密室でつくつた憲法違反のフェミニズム立法。それがドメスティック・バイオレンス防止法(DV防止法)といふ法律である。
このDV防止法の「改正」案が二十六日に参議院に上程された。ところが参議院ではまつたく審議が行はれず、即日衆議院に送付された。三年前にDV防止法が成立した時とまつたく同じパターンである。この時は森首相退陣のどさくさにまぎれてフェミニスト議員がDV防止法案を緊急上程し、参議院での審議はゼロ、衆議院でも法務委員会に二時間諮つただけで、参議院上程後わづか四日で国会を通過させてゐる。DV防止法「改正」案も、国民に詳細を説明しないまま抜き打ち的に成立させるつもりらしい。(「改正」案とカギカッコつきにしてあるのは、「改悪」案と書くと、元の法律がまともなものであると誤解されかねないからである。厳密に書けば「悪法」の「改悪」案となる)。
さて、「改正」案に仕掛けられた数々のワナについて触れる前に、DV防止法を策定したフェミニスト勢力について説明しておかう。
DV防止法は議員立法で、DV防止法案を作成したのは「参議院共生社会調査会」の「女性に対する暴力に関するプロジェクトチーム」である。 三年前のプロジェクトチームのメンバーをみると、座長は南野知恵子(自民党)、副座長が小宮山洋子(民主)で、堂本暁子(無所属)、福島瑞穂(社民)、清水澄子(社民)、林紀子(共産党)、八田ひろ子(共産)ら名うてのサヨク・フェミニスト議員が名前を連ねてゐる。
座長の南野知恵子は、知る人ぞ知る福島瑞穂レベルの超フェミニスト。「看護婦」の呼称を「看護師」に変へた張本人で、公約の第一に「性教育」を掲げ、同性愛団体及び避妊具メーカーと密接な関係を有するといふお方である。この人は今も座長を続けてゐる。堂本暁子、福島瑞穂、小宮山洋子らについては説明するまでもない。当時の参議院におけるワルフェミ三羽烏。この三人組が南野知恵子を座長にかつぎあげて、密室でつくりあげたのがDV防止法案だつた。
参議院共生社会調査会は、自分たちの活動に批判が出ると、「超党派で決めたことですから」と答へる。「自民党サンも賛成してるぢゃないですか」といふわけだ。しかし自民党の南野知恵子議員の思想は上に説明した通りで(いづれもつと詳しく紹介しよう)、自民党代表として保守の側から意見を述べるどころか、福島瑞穂や共産党議員と一緒になつて、どうしたら自民党の男性議員を騙せるか戦略を練つてゐる。要するに参議院共生社会調査会に集ふフェミニストの思想は、自民党から共産党までなんら変はるところがない。これが民主主義といへるのだらうか?
「参議院共生社会調査会」の正体について国民はまつたく知らされてゐない。分かりやすく説明すると、参議院におけるフェミニズム運動推進機関といへやうか。平成10年7月の参議院選挙で女性議員が20人当選し、女性議員が参議院に占める割合が17%に上昇した。そこで今後参議院としてフェミニズム運動を大いに推進していきませうといふことになり、フェミニスト議員を集めてつくつたのが「参議院共生社会調査会」である。 参議院共生社会調査会が早速取り組んだのがDV防止法案の策定で、平成12年4月に「女性に対する暴力に関するプロジェクトチーム」を発足させた。プロジェクトチームの審議は完全非公開。議事録も公開されてゐない。完全な密室審議になつたのは、つまりこの法律の審議過程が男性議員や国民の目にふれるのはマズイと制定者たちも自覚してゐたからだらう。
DV防止法の正式名称は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」といふ。ではDV防止法の前文を読んでみよう。
《また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を行うことは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。
このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。》
この前文は要するに、この法律で守られるべきは女性であるといふ宣言である。その当然の帰結として、この法律で犯罪人として処罰されるのは男性のみといふことになる。刑事罰を課す法律で、刑罰を一方の性にしか適用しないのは両性の平等に反するといふことは子供でも理解できる。両性の平等を定めた憲法第14条違反。
プロジェクトチームは当初、法律名を「女性に対する暴力防止法」とすることを計画してゐた。しかし法制局から猛反対されたため、今度は、前文にその趣旨を謳ふことにした。この前文がおかれたことにより、DV防止法は事実上「夫・パートナーからの暴力防止法」になり、取締り対象は事実上男性に限定されることになつた。
その証拠に、政府はDV防止法が成立して以降、「ドメスティック・バイオレンス」といふ呼称さへ「性中立的な表現」であるとして使はなくなつた。例へば内閣府・男女共同参画局が刊行した『配偶者からの暴力相談の手引』には次のような記述がみられる。《これまで内閣府では「ドメスティック・バイオレンス」は使わず、「夫・パートナーからの暴力」という用語を使用してきました》
DV防止法の「立法趣旨」に則つて、政府を挙げて、「配偶者からの暴力」「ドメスティック・バイオレンス」を、「夫・パートナーからの暴力」にスリかへ始めたのだ。男女共同参画推進本部が実施してゐるのは《女性に対する暴力をなくす運動》であり、内閣府が作成したシンボルマークは《女性に対する暴力根絶のためのシンボルマーク》であり、内閣府が開催するのは《女性に対する暴力に関するシンポジウム》である。「配偶者からの暴力」といふ言葉は政府部内から「根絶」された。
刑事罰を課す法律で、男性のみをターゲットにした法律は世界中に類がない。そのことを一番よく知つてゐたのは法律を作成した当事者たちだらう。 『詳解DV防止法』(ぎょうせい)といふ本には、「他国でも女性を対象にして法律をつくろうとしたができなかった」と書かれてゐる。この本の監修者は南野知恵子、小宮山洋子、堂本暁子、福島瑞穂、林紀子、大森礼子の六人。執筆したのは参議院法制局と参議院委員部の職員。つまり法律をつくつた当事者たちが刊行した本だ。
特定の性をターゲットにした法律なんて世界中に存在しないことを知つてゐながら、そのやうな法律があるかのやうに事実をねじ曲げて宣伝し、日本でそれを作つてしまふといふ許しがたい欺瞞と背信。フェミニズム勢力がDV防止法に仕掛けたワナは無数にある。
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