国会におけるジェンダーフリー問答を私は平成元禄田舎芝居と呼んできた。でも最近の平成元禄田舎芝居をながめてゐると、これは田舎芝居なんてノンキなものぢゃない、ほとんど国民に対するペテンの域に達してゐる。平成元禄詐欺芝居だな、これは。
平成元禄詐欺芝居の内幕を2月26日に開かれた衆院内閣委員会の論議で検証してみようか。民主党の中山義活議員に「こういうジェンダーフリーなんというのは男女共同参画社会とかには全然関係ない言葉なんでしょう。関係あるんですか」と聞かれた福田官房長官の答弁はこんな答弁をしてゐる。ちなみに官房長官は男女共同参画担当大臣だ。
《ジェンダーフリーという言葉、この言葉の意味ですね、またそこに何か主張があるとかいうようなことであると、それは、それをそういうように使う人の立場でいろいろ変わってくるんだろうと思います。ジェンダーフリーという言葉は男女共同参画社会では使わないことにしているんですけれどもね。要するに、性差を超えて男女ともに自分の能力を十分に発揮できるような、そういう社会をつくるということを目指しているのが共同参画社会ということでありますので、それをジェンダーフリと一緒にするということではないのでありまして、また、そういう誤解があればこれは解かなければいけないというふうに思っています。》
福田官房長官は、ここで既にペテンの手口を繰り出してきてゐる。
【手口その一】
「ジェンダーフリーという言葉は男女共同参画社会では使わないことにしているんですけれどもね」といふ言葉がそれ。この「使わない」の意味がまさに天才的ペテン師の用語法であることは、以下の答弁で明らかになる。
【手口その二】
質問者がここで聞いているのは、ジェンダーフリーと男女共同参画社会は関係あるのかないのか」といふことだ。これに対して福田官房長官は、ああだかうだとゴタクを並べてゐるけれども、「ジェンダーフリーと男女共同参画社会は関係ない」とは一言も言つてゐないことに注意。
この後、質問者は、「ジェンダーフリーと男女共同参画社会は目指しているものが全く違う、こういう判断でまずいいわけですね。それでいいわけですね」と重ねて聞いた。今度は中島副大臣が答へる。
《ジェンダーフリーのお話、今官房長官からございましたけれども、そのジェンダーフリーという用語は、使用する人によりその意味や主張する内容はさまざまでございます。北京宣言及びその行動綱領や、最近の国連婦人の地位委員会年次会合の報告書などでは使われておりません。男女共同参画社会基本法、基本計画等、国の行政においても使用しておらないところでございます。したがって、男女共同参画局としては、ジェンダーフリーの公式な概念を示せと言われても、示すことはできません》
【手口その三】
ジェンダーフリーは「国の行政においても使用しておらない」といふセリフがまた出てきた。みんなこのセリフに騙される。このセリフの前に「男女共同参画社会基本法、基本計画等」といふ文句がついてゐることも知らないで。それからこの発言の前に、「北京宣言及びその行動綱領や、最近の国連婦人の地位委員会年次会合の報告書などでは使われておりません」と強調してゐることにも留意されたい。
この後、福田官房長官が再答弁に立ち、次のやうに説明した。
《先ほど副大臣からも答弁申し上げましたけれども、この言葉(ジェンダーフリー)は誤解を招く、そういう恐れもあるわけでございますので、男女共同参画基本法とか基本計画などにおいて、国の行政においては使用しない》
【手口その四】
ふたたび出てきた「国の行政においては使用しない」といふセリフ。しかし、副大臣答弁と同じやうに、「男女共同参画基本法とか基本計画などにおいて」といふ前置きがついてゐることを忘れないやうに。
つまり二人がここで口裏を合はせて述べてゐるのは、「男女共同参画基本法と男女共同参画基本計画においてはジェンダーフリーといふ言葉を使つてません」といふ事実にすぎない。アホ、そんなこと、お前らに言はれなくても分かつとる!
ここに至つて、政府がジェンダーフリーを「国の行政においては使用しない」といふ意味は、「男女共同参画基本法と男女共同参画基本計画ではジェンダーフリーといふ言葉を使つてゐない」といふ意味にすぎないことが明白になる。国の行政においてジェンダーフリーを使用しないとはさういふことなんですな。「国の行政」をいのまにやら基本法と基本計画にスリ換へてしまふ狡猾さ。「基本法と基本計画以外のことは知りまへん」。これがお二人の答弁の核心だ。
つくづく頭のいいペテン師たちだと思ふ。でも官房長官や副大臣をペテン師呼ばはりしては失礼にあたるだらう。官房長官や副大臣はペテン師の手先にすぎない。本物のペテン師集団はもちろん答弁書を作成して官房長官や副大臣を操つる内閣府のフェモクラットたちだ。
さて、これ以上ペテンの被害が広がらないやうに、ペテン師集団の手口をもうすこし詳しく紹介したい。中島副大臣は、地方自治体にどんな指導をしてゐるのかといふ民主党議員の質問に対して、かう答へた。
《地方公共団体等の中で、一部そのような表現を用いているところもございます。これは、地方公共団体が判断すべき問題だと言ってしまえば終わりになるわけでございますけれども、前提としては、先ほど御答弁申し上げたとおり、私どもとしてはそのような、男女共同参画局としてそういう方針で臨んでいるわけではないというふうに御理解をいただきたい。まだ、そのことに対して、どうのこうのというふうな形はとっておりませんけれども、そういう統一見解で臨んでおる、このように御理解をいただきたいと思います。》
【手口その五】
地方自治体に対して、「そういう統一見解で臨んでおる」と胸を張る。しかしこれがなにも意味しないことは、次の福田官房長官の答弁で明らかになる。
《そしてまた、地方公共団体の条例、計画などにおきまして、これは、どういう言葉を使うかについては基本的にはそれぞれの地方公共団体の判断すべき問題ではあるんですけれども、最近の、今言ったようなこの用語をめぐる誤解、混乱の状況を踏まえますと、今後、新たに地方公共団体において条例等を制定する場合にはあえてこの用語は使用しない方がいいというように考えて、またそういう指導をしておるところでございます。》
【手口その六】
たしかにここに、地方公共団体に指導するといふ表現がみられる。で、またみんな騙される。ここに施された小細工にどうして誰も気がつかないのだらう。地方公共団体に指導するのは、「新たに地方公共団体において条例等を制定する場合」とちゃんと但し書きがついてるぢやないの。
現在でもジェンダーフリーといふ文言を入れた男女共同参画条例はまれだ。男女共同参画条例にジェンダーフリーといふ文言があらうがなからうが、自治体のジェンダーフリー行政に支障はない。「バックラッシュ」が強まる中、これから条例にわざわざ「ジェンダーフリー」の文言を盛り込む馬鹿がゐるか。
この小細工答弁の意図はもう明らかだらう。条例にジェンダーフリーを使用しないやうに指導するといふのは、地方自治体に何も指導しないといふのに等しい。いやむしろ、地方自治体に対して、「条例以外ではジェンダーフリーOKよ」とシグナルを送つてゐるとしか思へない。
「政府は地方自治体にジェンダーフリーを使はないよう指導すると明言した」なんて喜んでる人がゐるけれど、アンタ、オメデタすぎるよ。
さて、以上の答弁を改めて整理すると、男女共同参画担当大臣たる官房長官と副大臣の答弁は次の二点に要約することができる。
第一。ジェンダーフリーといふ言葉は男女共同参画社会基本法と基本計画では使用してゐない。
第二。地方自治体に対しては、新たに制定する条例にジェンダーフリーを使用しないやう指導する。
もう一度確認すると、これは現状のまま何もやらないつていふことだ。現状追認。いや、現状を放置することによつてますますジェンダー・フリーの嵐が吹き荒れることを期待する。そんな連中が書いた下手なシナリオが、この平成元禄詐欺芝居といへようか。
★平成元禄詐欺芝居★
作・演出 内閣府男女共同参画局フェモクラット
出演 官房長官・副大臣、
つまり、かういふことだな。
誤解のないやう付言しておくが、私は政府はジェンダー・フリー問題で地方自治体を指導する気がまつたくないといふ事実を指摘したまでで、政府が地方自治体に対してジェンダー・フリーをやめるやう正式な通達を出すべきだとか、もつと強力に指導すべきだとか主張してゐるのではない。それは泥棒にカギを預けるやうなものだ。
フェミナチ政策とジェンダーフリーの元凶は、男女共同参画社会基本法と内閣府男女共同参画局であることは明白である。フェミナチ基本法たる男女共同参画社会基本法とフェミナチ政策司令塔たる男女共同参画局を廃止すること、そしてこのペテン師集団を政府部内から放逐すること、われわれのなすべきことはそれにつきる。どうかくれぐれも男女共同参画局のフェモクラットたちを、ジェンダー・フリーの跳ね返り分子を指導する「善玉」と誤解することだけはしないやうに。
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