桂文也「ジェンダーフリー落語」は
お笑ひを隠れ蓑にして反日サヨクのアジ演説である


  いや、ひどいものを聴いてしまつた。《桂文也のジェンダーブレーク》といふやつだ。

 桂文也(以下B)は落語界の落ちこぼれで、落語業界ではトンと名が知られてゐないけれども、フェミニズム業界では知らない人のない有名人。全国の自治体に呼ばれてはジェンダー落語とやらを演じまくつてるらしい(年間講演回数は百回!)。

 この自治体御用達のジェンダー落語なるものを一度実見してみたいと思ひつつ機会を得られずにゐたが、某女性センターで、《桂文也のジェンダーブレーク 場所 船橋市勤労市民センター 主催 CAPぽけっと 後援 千葉県・船橋市・習志野市》といふ文字が踊るチラシを発見したのが運のツキ。落語・漫談は嫌ひではないので(好きなのは立川談志と綾小路きみまろ)、せつかくだから(何がせつかくだ?)ジェンダー落語で大いに笑はせてもらはうかと出かけた次第。

 会場の受付にゆくと、チラシには「大人三百円」とあつたのになぜか「無料」に変はつてゐる。主催者団体のパンフレットや児童虐待防止の新聞記事コピー(主催者団体は児童暴力防止活動の市民グループ)などを受け取つて入場する。

 会場内に入ると人はまばら。四百人収容できる会場の四分の一も埋まつてない。土曜日の午後といふ恰好の日取りなのに。少しばかり拍子抜けする。いかにもそれらしきフェミニスト活動家たちに混じつて男性の姿もチラホラ。 主催者の紹介でBが登場。ぱらぱらと拍手。てつきり落語が始まると思つたら最初は講演だつた。チラシをよく見ると、なるほど「講演&落語」と書いてあつた。

 和服姿のBが演壇を前に「講演」を始める。

《ジェンダー問題はなによりも人権問題でして、佐世保であのやうな事件がありましたが、なぜ子供たちが子供たちに暴力を振るふのか。そこにあるのはジェンダーといふものでありまして・・・・》

 おいおい。男が女を抑圧するために行使する暴力はジェンダーに由来するーといふのがフェミニズムの理屈じやなかつたつけ?

 佐世保の事件は女が女を殺したんだろ? そこになんでジェンダーが出てくるんだ? Bは矛盾などおかまいなしにしやべり続ける。

《ジェンダーとは簡単にいふと、生物学上の性といふ分類ではなく、子供が育つプロセスの中で知らず知らずの間に押しつけられた後天的な男女の性差のこと。これがジェンダーです。女が女であるといふ理由において、男が男であるといふ理由において、押しつけられてしまふ男女の性差別の問題がジェンダー問題です》

 ここは小学生向けのジェンダー教室か? 幼稚なジェンダーフリーのお話。落語家からフェミニズムの初歩的講釈を聴かうとは思はなかった。

《ジェンダーの間違つた思ひ込みをなくしていかないといけません。多くの場合ジェンダーの束縛に気づかない。なぜなら知らないうちに刷り込まれてしまふから。男は外で働くのが当たり前、女は家事・育児をするのが当然なんだといふ間違つた思ひ込み、女だからかうしなければいけないといふ刷り込みに対してノーと言ふことができない。母性神話や誤つた三才児神話によつて女たちはがんじがらめにジェンダーの中にからめとられてるんです》

 話の内容がフェミニズム・パンフレットのレベルなので、大方がフェミニズムシンパであらう聴衆も「そんなことアンタに言はれなくても知つてるわヨ」といふ顔でシラケて聴いてゐる。そんな空気に一向おかまいなくBの独演は続く。

《日本は1980年代半ばに女性差別撤廃条約も批准し、今から五年前には男女共同参画社会基本法といふ法律ができました。しかしどちらも認知度が非常に低い・・・・男は強くなければならないといふ間違つたジェンダーが政治的方向に進むとどうなるか・・・保守のやつらは何を狙つてゐるか知つてますか? 憲法を変へて戦争ができる国にしようとしてるんです。そして教育基本法を変へようとしてゐる》

 話題は、男女共同参画社会基本法から憲法・教育基本法へ。このへんからBの「講演」は完全にアジ演説の様相を帯びてくる。

《子供たちの心が荒廃してゐるから教育基本法を変へなければいけないといふ。個人の問題である信仰・宗教の問題に踏み込んで国旗・国歌を強要しようといふ東京都の現状をみれば、やつらの狙ひは分かつてます。家父長制を日本全体に拡大したピラミッド化。戦前、誤つた道を歩んでしまつた全体主義、天皇を頂点とする統制型社会をやつらは狙つてる》

 ほとんど「アカハタ」の世界。左様。ここで、Bが真性サヨクであることが明白になる。

《イラクの問題にしても分かるでせう。この間イラクで死んだ○○さん(聞き取れず)は、ジャパニーズ、日本人だから殺されたんです。あの人を殺したのは誰だか知つてますか。小泉純一郎です。日本が自衛隊をイラクに送つたことがイラクの人間にとつて殺す理由になつてゐる。まさに日本に対して引き金が引かれた。それは小泉純一郎が彼を殺したといふことなんです》

 イラクで人質を演じた三馬鹿に輪をかけた反戦サヨク。三馬鹿とその家族がさんざん批判を浴びた屁理屈を恥ずかしげもなく絶叫する。こんな野郎が自治体から講演料をせしめることが許されていいのだらうか? Bの「講演」ならぬアジ演説は一時間も続いた。終はると「ジェンダー落語」。そして最後に質疑が行はれたが、ここでBのヨタ演説がまた始まる。

《子供の教育は本当に大事なんです。一定の宗教や思想を押しつけられる子供は歪んでしまふ。だから皆さん、産経新聞は読まないで下さい》
《アフガニスタンでもイラクでも戦争はジェンダーを強化する。女は戦力を産むための装置とされるんです。戦前と同じやうに産めよ殖やせよと強制される》
《テレビで一番見せていけない番組は「サザエさん」です。あの家の門柱には日の丸が出てくる。我々の知らないうちに刷り込まれてるんです。あの番組を作つてるのはフジテレビ。フジサンケイグループには扶桑社といふ出版社がある。その扶桑社が何をしてる出版社かはご存じですね》

 おいおい、こいつはただの反日サヨクだよ。産経新聞とフジテレビはBを裁判で訴へた方がよろしいのではないでせうか? こやつ、反日演説をしやべりだすと止まらない。司会者がBの話をさへぎるやうにして漸く閉幕となる。

 さうさう、肝心の「ジェンダー落語」のことを言つておかなければならない。これほど面白くもなんともない落語も珍しからう。

 ある女房が女友達から、「主人といふ言葉は間違つた日本語で主従関係を固定化する」「アンタはジェンダーの思ひ込みに振り回はされてる」「もつと自己実現を考へなさい」とさんざんジェンダーフリーを吹き込まれる。帰宅すると、亭主はリストラでクビになつたことを告白、そこで夫婦喧嘩が始まるといふお話。「アンタの老後はアンタだけの問題」「この家の主人はわしや」「主人? 主人? ハハハ。なにが主人や」「自分の都合が悪うなつたらすぐ手を振り上げる。たたいたらエエやんか。むかしはがまんしてたけど、もうがまんしまへんで」

 夫婦喧嘩のやりとり。これ、皆さん笑へます? エゴむき出しの夫婦喧嘩。ユーモアのかけらもないから救ひやうがない。

 古典落語に出てくる亭主と女房は派手な夫婦喧嘩をやらかすが、悪態をつき合つても、双方どこかヌケてるから笑へるのである。亭主と女房のどつちが正しいかなんてヤボは言はない。どつちもどつち。正邪をつき抜けたところに笑ひがある。だから落語になる。の正義があるといふ前提だからつまらないことおびただしく、濡れ落ち葉亭主をイジメる話にしかならない。

 ジェンダー落語のつまらなさを知つてゐるのは、ほかならぬBだと思ふ。この日の時間配分は、講演一時間、落語二十五分、質疑三十分。つまりBは約二時間のうち一時間半をヨタ演説に費やし、落語はたつたの二十五分しかやつてゐない。

 落語家なのになぜ全部落語でやらないのだらう? はじめは不思議に思つたが、最後まで聴いてよく分かつた。できないのだ。ジェンダーフリーは落語にならない。ジェンダー落語では一時間笑はせることはできない。 しかし落語家が「講演」だけではまずいから、一応「ジェンダー落語」を形だけこしらへ、あとは講演といふ名のアジ演説を聞かせるパターンを考案したのだらう。

 この日の演題は、講演が「笑って・感じて・気づいて・変わる」、ジェンダー落語は「目覚めのススメ」だつたが、Bの過去の演題を調べるとほとんどがこの組み合はせ。つまり、こやつはどこへ行つても、時間の大半を講演といふ名のアジ演説に費やしてきたわけだ。たしかに落語やるよりヨタ演説の方が楽だワな。

 質疑で、「なぜジェンダー落語をやるようになつたのか」と聞かれて、B曰く。十年ほど前にジェンダーといふ言葉を知つて、差別問題だとかそれまで考へてゐた問題がみんな氷解した、と。共産主義国がコケて、慌ててフェミニズムにもぐりこんだサヨクがよく口にするのがこのセリフである。

 ジェンダー落語を売り物にすれば自治体からお呼びがかかると読んだBに先見の明があつたことは認めなければなるなるまい。Bは自治体寄食者として成功をおさめた。

 ところがそのBの安楽な地位を脅かすニセ者が出現した。Bのホームページの報告。

《それにしてもここのところ人権講演会への依頼が非常に多い。同和対策法の時限が来たからと言うことでやたらとジェンダーやら男女共同参画へとシフトしているようだ。私としては専門ジャンルだからいいのだがなんと私のまがいもの、というかいわゆる「バチもの」と関西で言うところの類似品が出て来ている。実は私の同じ職業の人間、つまり落語家だったりするのだがなんともこいつはジェンダーのかけらも理解してないどころかどうも講演で間違ったことを言って実施団体からひんしゅくをかっているようなのだ。で名前が私と一時違い。地方ではじっさいいつくか間違ったらしい。そいつのプロダクションが間違うように売り込んでいるらしい。しかも私より少々安く売ってるらしい。昔良くあった「美空ひはり」や「船本一夫」や「石原裕太郎」「北鳥三郎」なんてところである。いやはやなんともせちがらい夜の中になったもんだ》

 かつてエセ同和が輩出して税金を食ひ物にしたやうに、同和対策法の期限切れと共に、「エセ」フェミが出没して税金を食ひものにしようとしてゐるといふ。そんな事態を「正統」フェミをもつて任ずるBが嘆く。目クソ鼻クソを笑ふといふ言葉を思ひ出す。税金を食ひ物にしようとしてゐることでは、「正統」フェミも「エセ」フェミも同類だと思ふけどね。

 さて、以下は自治体の皆様方へのお願ひである。 Bの素性は以上でお分かりのことと思ひます。このやうな反日サヨクの方に「アジ演説」を依頼した自治体の皆様におかれましては是非反省していただきたい。ご参考までにBのホームパージから、平成十四年十一月の彼のスケジュールをご紹介します。
http://www1.on-demand.co.jp/gender/bbs.html
 3日 福井県美山町教育委員会。「みやま木ごころ文化の郷」
 6日 福島県須賀川市須賀川高校
 9日 千葉県女性センター 柏市 「さわやかちば県民プラザ」
 10日 長崎県島原市 「森岳公民館」
 14日 京都府峰山町 総合福祉センター 主催峰山町教育委員会
 16日 青森県木造町生涯学習センター 主催青森県男女共同参画センターアピア
 17日 三重県津市「津リージョンプラザ」 主催津市男女共同参
 画室
 19日 福井県美浜町 美浜町商工会婦人部
 22日 京都府舞鶴市女性センター 主催舞鶴市教育委員会
 23日 神奈川県川崎市女性センター「すくらむ21」 主催ウーマンズ・アイ
 24日 富山県大門町「大門町総合会館」 主催大門町教育委員会
 27日 福岡県職員労働組合
 29日 高知県香我美町町民会館 主催香我美町教育委員会

 この月だけで実に十三回! 日教祖がお仲間を呼ぶことに文句を言ふ気はさらさらありませんが、峰山町教育委員会、大門町教育委員会、舞鶴市教育委員会、香我美町教育委員会の各教育長様。日の丸が出てくる「サザエさん」は子供に見せないやうにと絶叫する御仁と知つてBを呼ばれたのでせうか?

 全国自治体の男女共同参画課の課長様、「お笑ひ」を隠れ蓑にして反日サヨクに宣伝の場を提供するのはもうやめませうね。くれぐれもお願ひ申し上げます。


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