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安倍政権下で進行するフェミニズム行政
施政方針演説にDVも登場
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安倍総理の施政方針演説は、安倍政権に対する不信の念をつのらせてくれるのに十分な内容だつた。
「美しい国、日本」が登場すること七回。こんな、CMのコピーみたいな標語なんかもう聞き飽きたつてことが、この数ヶ月の内閣支持率下落の意味ではないのか。その認識が完全に欠落してゐることが施政方針演説に露呈してゐる。
施政方針演説に登場する次のくだりは池田大作へのメッセージだ。
《自由民主党及び公明党による連立政権の安定した基盤に立って、「美しい国創り」に向けたあらゆる政策を断固として実行してまいります。》
池田大作及びその配下の政治家たちと共有しうる「美しい国」のイメージというものを私は想像することができない。
もしかすると、安倍総理はかなり感度の鈍い人なのかもしれない。それはフェミズム問題に言及した部分で一層露はになる。
《女性の活躍は国の新たな活力の源です。意欲と能力のある女性が、あらゆる分野でチャレンジし、希望に満ちて活躍できるよう、働き方の見直しやテレワーク人口の倍増などを通じて、仕事と家庭生活の調和を積極的に推進します。子育てしながら早期の再就職を希望する方に対し、マザーズハローワークでの就職支援を充実します。配偶者からの暴力や母子家庭など、困難な状況に置かれている女性に対し、行き届いたケアや自立支援を進めます。》
このあとにはこんな言葉が続く。
《子どもは国の宝です。安心して結婚し、子どもを産み育てることができる日本にしていかなければなりません。同時に、家族の素晴らしさや価値を再認識することも必要です。次のような政策を実行に移すとともに、少子化に対し、更に本格的な戦略を打ち立てます。
児童手当の乳幼児加算を創設し、3歳未満の第1子、第2子に対する手当を倍増し、一律1万円とします。育児休業給付を、休業前の賃金の4割から5割に引き上げるとともに、延長保育など多様なニーズへの対応を進め、仕事と子育ての両立支援に全力を尽くします。働く人が家族と触れ合う時間を増やすため、長時間の時間外労働を抑制するための取組を強化するなど、仕事と生活のバランスがとれた、働く人に優しい社会の実現を目指します。》
「働き方の見直し」「子育てしながら早期の再就職」「マザーズハローワークでの就職支援」・・・「少子化対策」と「女性の活躍」の美名に下に繰り広げられるフェミニズム政策にこの人は何の疑念も抱いてゐないらしい。疑念を抱くどころか、女性が働きに出ることが少子化対策の特効薬であると心から信じてゐるフシさへある。
さらに黙過しえないのは、前段にある「配偶者からの暴力や母子家庭など、困難な状況に置かれている女性に対し、行き届いたケアや自立支援を進めます」といふ文言だ。
「配偶者からの暴力」といふ言葉が、施政方針演説において初めて総理大臣の口から発せられたのである。
DV防止法は森内閣から小泉内閣に代はる空白期に成立し(平成13年4月)、小泉内閣の下で運用が始まつた。
小泉総理はフェミニズム政策についてどんなことを言つてきたか。小泉総理の施政方針演説を読んでみよう。
■第154回国会における施政方針演説
平成14年2月4日
《男女が共に個性と能力を十分に発揮できる社会の構築に向け、女性の新しい発想や多様な能力を活かせるよう、様々な分野へのチャレンジ支援策に関する検討を進めてまいります。》
■第156回国会における施政方針演説
平成15年1月31日
《子育てと仕事の両立を支援するため、平成16年度までに更に10万人の受入児童の増加を目指し、「待機児童ゼロ作戦」を引き続き推進します。小学生のための放課後児童クラブや、子育て中の親が集まって相談や情報交換ができる場を整備します。少子化の流れを変えるため、家庭・地域・企業が一体となって子育てを支援するための法案を提出します。》
■第159回国会における施政方針演説
平成16年1月19日
《保育所の「待機児童ゼロ作戦」を着実に実施し、来年度も受入児童を5万人増やすとともに、育児休業制度を充実します。児童手当の支給対象年齢を就学前から小学校第3学年修了まで引き上げます。子供を安心して生み、子育ての喜びを実感できる社会を目指し、少子化対策に政府一体で取り組みます。
女性が持てる能力を発揮し、様々な分野で活躍すれば、活力や多様性に満ちた社会になります。これまで女性の進出が少なかった分野も含め、女性のチャレンジする意欲を支援してまいります。》
■第162回国会における施政方針演説
平成17年1月21日
《少子化の流れを変えるため、新たに策定した「子ども・子育て応援プラン」に基づき、待機児童ゼロ作戦を引き続き推進するとともに、現在60パーセントの育児休業制度の普及率を5年後には100パーセントにすることを目指します。安心して子供を生み育て、子育てに喜びを感じることのできる環境を整備してまいります。また、女性がその能力を発揮し、新しい事業の展開や地域づくりなどあらゆる分野でチャレンジできるよう支援します。》
■第164回国会における施政方針演説
平成18年1月20日
《昨年は、出生数が110万人を下回り、戦後初めて人口が減少すると見込まれています。少子化の流れを変えなくてはなりません。就任時に表明したとおり、昨年度末までに保育所の受入児童を15万人増やしました。それでもまだ足りない現状を踏まえ、引き続き「待機児童ゼロ作戦」を推進いたします。昨年度末には、小学生が親の帰宅までの間、安心して過ごせる場としての放課後児童クラブを、目標どおり1万5000か所整備しました。さらに、経験豊かな退職者や地域の力を借りて、多様な放課後児童対策を展開いたします。子育て期の経済的負担の軽減を図るために児童手当を拡充するとともに、育児休業制度の普及など企業や地域のきめ細かな子育て支援を進め、子育ての喜びを感じながら働き続けることができる環境を整備してまいります。
本年度、審議会等における女性委員の割合を3割にするという目標を達成しました。2020年までに社会のあらゆる分野において、指導的立場に女性が占める割合が3割となることを目指し、いったん家庭に入った女性の再就職を支援するなど、昨年末に改めて策定した男女共同参画基本計画を推進します。》
坂東真理子に刷り込まれた「待機児童ゼロ作戦」を莫迦のひとつ覚へのやうに繰り返してゐることと、後年になるに従つてフェミニズム色が強まつてゐることが見てとれる。
が、ここで指摘したいのはそのことではない。小泉総理は施政方針演説において「配偶者からの暴力」や「母子家庭」(シングルマザーのことだ)についても言及したことも一度もないといふ事実だ。
小泉前総理と安倍総理の施政方針演説を読み比べてみれば誰の目にも明らかだと思ふ。安倍総理のフェミニズム政策は小泉前総理のフェミニズム政策より一歩先に行つてゐるといふことが。
安倍氏はジェンダーフリー教育を批判してきた人だ。自民党の中でジェンダーフリー教育批判の先頭に立つてきた人だ。その人が「配偶者からの暴力」を言ひ、シングルマザーの支援を言ふ。DV防止法が離婚の増加にどれほどの貢献をしてゐるかなんてことは、安倍総理の思慮の外なのだらう。
あるひは安倍総理は、「配偶者からの暴力」の根絶やシングルマザーの支援が少子化対策に寄与すると心底考へてゐるのかもしれない。
私は安倍氏がジェンダーフリー教育を批判してきた動機を疑ふものではないし、おそらく安倍氏は今でもジェンダーフリー教育には強固な反対論者なのだと思ふ。
ただ惜しむらくは、安倍総理の頭の中では、フェミニズムの様々な問題が有機的に結びついてゐない。
そういへば、安倍総理は施政方針演説ではこんなことも言つてゐる。
《新しい国創りに向け、国の姿、かたちを語る憲法の改正についての議論を深めるべきです。「日本国憲法の改正手続に関する法律案」の今国会での成立を強く期待します。
お年寄りの世話をしている方や中小企業で働く方、看護師、消防士、※主婦や、様々な職場、そして各地域で努力しておられる、数えきれない多くの方々が、毎日寡黙にそれぞれの役割を果たすため頑張っています。本来、私たち日本人には限りない可能性、活力があります。それを引き出すことこそ、私の美しい国創りの核心であります。今このときそれぞれの現場で頑張っておられる人々の声に真摯に耳を傾け、その期待に応える政治を行ってまいります。》
「毎日寡黙にそれぞれの役割を果たすため頑張って」ゐるひとびをあげて敬意を表しゐるわけだが、しかし、ここで「看護師、消防士、主婦」と並べてゐるのはどういふ意図に基づくのか。
「主婦」は看護婦や消防士と並列して論ずべきものだらうか。いや、看護婦や消防士を貶めようといふのではない。看護婦や消防士はひとつの職業だ。でも、主婦はそれらと同列に扱ふべき「職業」だらうか。
安倍総理が「主婦」の存在に意義と認めようといふ立場の人であることは分かる。多分自民党の中でも安倍総理は「主婦」の最大の理解者に相違ない。
しかし残念ながら、施政方針演説にたつた一箇所出てくる「主婦」の取り扱ひ方は、安倍総理の「主婦」に対する理解の程度を物語つてゐる。
第一、この施政方針演説の中のどこをさがしても、「主婦」の立場を向上させる政策を見出すことはできない。「主婦」を少数派に追い込む政策なら、先ほど見た通りふんだんに発見できる。
「主婦」を少数派に追い込む政策をかかげておきながら、「主婦」への「思ひやり」を語る。不思議でならない。不思議に思ひつつ、安倍氏の著書『美しい国へ』をひつくり返してみたら、「家族、このすばらしきもの」なんていふコピーはあれど、家族や主婦を支援につながる政策はまつたく見当たらない。「少子化国家の未来」といふ章では年金問題に紙数を費やし、年金は破綻しないと厚生労働省の代弁にこれつとめてゐる。
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