「戸籍がない子供は健保に加入できない」のウソ 

 772条問題で登場した「男性当事者」らの胡散臭さ



 民法772条問題におけるフェミたちの手口を眺めてゐると、そのワンパターン的思考及び行動様式に彼女たちの知能程度がまざまざと窺へて興味がつきない。

 この問題では、男性三人が大阪で記者会見したらしく、新聞は「理不尽な負担大きい、男性当事者ら訴え」と報じてゐる。「男性当事者」といふ呼称に注目しよう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070415-00000079-mai-soci

 夫婦別姓問題の時もさうだつたけれど、フェミたちは、自分たちの立場が危うくなると、決まつて男たちを全面に押し立ててくる。「この問題は女性の問題ではなく男性の問題でもあるのです」「男性たちだつて私たちの主張に賛成してるぢやありませんか」・・・ミエミエのフェミニスト流ワンパターンにすぎないのに、この程度の芝居でもアホな政治家や新聞記者を騙すのに造作はない。フェミたちはダメもとでウソ芝居を上演してゐるだけなんだけれど、ときどき真面目な政治家が、「やつぱり可愛さうな子供を救はなければ」なんて下手な芝居に涙してくれたりするので、彼女たちはウソ芝居の脚本づくりがやめられない。

 夫婦別姓問題の最盛期を思ひ起こす。あの頃、フェミたちは、どこで何をやつてゐるかさへ定かでないプータローみたいな男たちを記者会見に連れて来て、「ボ、ボクも、フ、フーフ、ベッセイ制度ができるのを、ま、まつてゐるんです」なんてたどたどしくしやべらせてゐた。登場するのは怪しげな男たちばかりで、どうでもいいけどもう少しマシな男はゐないの、と気の毒に思つたほどだつた。

 大阪の記者会見に登場した男性たちはどうなんだらう。男たちの発言の一部が新聞に載つてゐるから、かれらの発言を検証して「男性当事者」の正体に迫つてみようか。

《また、離婚から255日後に生まれ、前夫らを相手に裁判をしていないため戸籍のない2歳男児を育てる徳島県の主婦(36)と現夫の男性(33)は、経済的な負担の重さを指摘。「戸籍がない」を理由に出産一時金がもらえず、保険証がないため、生後半年はアトピー性皮膚炎治療で多い時は1カ月約10万円かかったという。》(毎日新聞)

 この子供は健康保険がきかないから、医療費は10割負担だといふ。この記事を読む者は、子供は戸籍がないから健康保険に加入できないといふ印象を持つと思ふ。この子供はなぜ保険証がないのか? それは、この親たちが子供の健康保険加入を申請しようとしないからである。実際は戸籍がなくても健康保険に加入できるのだ。この記事はその事実を伝へない。

 民法772条問題の黒幕的存在である榊原富士子といふ弁護士がゐる。国会議員や法曹界のフェミを網羅した「民法改正情報ネットワーク」(mネット)の呼びかけ人の一人である。
http://www.ne.jp/asahi/m/net/index.html
http://www.ne.jp/asahi/m/net/contents/kyo.html

【mネット 呼びかけ人 赤松良子さん(元文部大臣) ・ 石坂啓さん(漫画家) ・安部宝根さん(市民福祉サポートセンター事務局)・ 大村芳昭さん(中央学院大学法学部教員)・戒能民江さん(お茶の水女子大学教員)・河口節子さん(日本婦人有権者同盟) ・ 小林カツ代さん(料理研究家) ・酒井興子さん(税理士)・坂 井隆之さん(アムネスティ日本支部ジェンダーチーム)・酒井は るみさん(茨城大学教員)・榊原富士子さん(弁護士)・笹森清さ ん(連合会長)・祖父江孝男さん(文化人類学者) ・高桑茂さん (カウンセラー)・ 高野孟さん(インサイダー編集長) ・高橋喜 久江さん(日本キリスト教婦人矯風会)・ 田嶋陽子さん(英文学 者) ・ 二宮周平さん(立命館大学教授) ・橋本ヒロ子さん(十文 字学園大学社会情報学部教員)・ 原ひろ子さん(女性と健康ネッ トワーク副代表)・堀内初美さん(税理士)・ 松本侑子さん(作 家) ・吉岡睦子さん(弁護士)】

 榊原富士子は、「戸籍は男女の序列をつくる元凶である」と、夫婦別姓や戸籍ボイコット運動を展開してきたフェミニストである。http://www.geocities.jp/gender_law/
 ところで彼女は、戸籍がない子供に対する住民サービスについて、パスポート以外には何も困らないと、次のように教へてくれてゐる。

《(戸籍と住民票がなくても)健康保険にも加入できるし、保育園にも入れる。出生届の不受理証明を提示すれば税法上の扶養控除も受けられるし、民間会社の扶養手当も受けられるし、各種保険の受取人にもなりうる。もちろん小学校にも入学できる。予防接種などのいろんな行政サービスが受けられている。》(榊原富士子著『女性と戸籍』明石書店)

 子供は戸籍なんか入れなくてもいいのよ、健康保険にも加入できるし小学校だつて入れるし、なーんにも困ることはないのよ! さう呼号して戸籍登録ボイコットを呼びかけてきたのがほならぬ榊原センセイだつたのだ。榊原センセイをはじめとするフェミ団体の奮闘が実つて、子供は戸籍がなくても健康保険、入園、入学、税制控除などあらゆる行政サービスが受けられる、といふのは今やフェミ業界の常識になつてゐる。知らないのは不勉強な政治家と新聞記者だけである。

 徳島県の夫婦の場合も、二歳の子供が保険に加入してゐないとすれば、親が意図的に保険加入を申請してこなかつたと考へるしかない。なぜ申請しなかつたのか? 知らない。ただひとつはつきりしてゐるのは、この夫婦が子供の健康保険をあつさり取得してゐたら、この日の記者会見に出席する資格は持ちえなかかつたといふことである。子供の健康保険を犠牲にして、無知な記者に「医療費負担にあへぐ夫婦」といふ記事を書いてもらつたとも言へる。

 いづれにせよ、この夫婦は、子供の健康保険に加入できるのに加入しようとしないといふ不思議な親であることに変はりはない。
 
 大阪で記者会見した男性のひとりは、「海外に単身赴任中に妻が別の男性との間で、子供を妊娠した大阪府の男性(37)のケース」(産経新聞)だ。この男性は妻の出産後、「嫡出否認」の手続きをとり、家庭裁判所で、「パスポートなどを使って互いに接触がなかったことを話すのは非常に屈辱的。こうした手続きなくして子供の親を決められないものか」と「精神的苦痛」を訴へたといふ。(同)

 言つてみればこの男性はコキュ的存在なのであるが(差別的表現と非難しないでいただきたい。この男性の経験をひとことで表現すればさういふ言葉を使用するしかないのだから)、このコメントを読んで奇態な印象を抱かない人はないと思ふ。彼のコメントをくだいていふと、「オレは海外にゐたことは間違ひないんだし、どうせあつちの男の子供に決まつてるんだから、そんなことはもつと簡単に決めてくれよ」といふことだからである。

 私の疑問は、この男性はなんのために(名誉とはいへない)自分の過去を公表してまで、戸籍手続きに注文をつけるのだらう、といふことだ。まさか、今度また自分が同じ状況に遭遇した時のために、手続きを簡単にしてくれと主張してゐるのではあるまい。今後、自分と同じ状況に遭遇するであらう夫たちのために、「(妻を寝取つた)男の戸籍に簡単に入れるやうにしてやつてほしい」と訴へてゐるとしか考へられない。

 なにかをかしくはないか? 自分のやうな哀れな(コキュ)を無くそうと訴へるなら理解できる。しかしこの人物はそちらの問題にはまるで関心がないらしいのだ。
 
 民法772条問題に登場する男性たちも、夫婦別姓の時の登場人物と同じやうに、なにやらフツーの人とは違ふといふ印象を禁じえない。これらのあんまりフツーでない人たちを、自分の経験を無にしまいといふ犠牲的精神の持ち主として美談にするのはもうやめよう。




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