このHPを見ていただいた人の中で「普通はクォーターや ハーフは股関節スクワットといわれて大臀筋を鍛えるために 使われていると思っていたのですが説明の中では違うところが 鍛えられることになっています。これはなぜなんでしょう?足幅の違いなんでしょうか? 」という質問がありました。

 実はこの辺のところが難しいところで、ウェイトトレーニングの奥の深さなんです・・・・ね。 この「スクワット講座」は、ある程度、「筋量を増やして、筋力を高めるという方向を主として解説している」ということがポイントです。
 なぜ今回、「クォーターSQ・ハーフSQは、太ももの後面 (ハムストリングス) とお尻 (大殿筋) がパラレルSQ・フルSQと比較して、鍛えられない」と解説したのか。理由は以下の二つからです。



※※※


 T 筋肥大の基本は最大伸展・最大収縮、エクセントリック

 
 では「筋量を増やす」ためというものを考慮した、ウェイトトレーニングの挙上動作は
  1. るべく可動範囲を最大限に使って動作する。(最大伸展・最大収縮)
  2. 筋が引き伸ばされながら、力を出す動 (伸張性筋収縮:エキセントリック・コントラクション)局面が多く入ること。
 ということが重要になってきます。これをスクワット動作での太もも後面・お尻の筋に当てはめると「股関節を曲げる(屈曲)れば、曲げるほど大腿部後面・臀部の筋が引き伸ばされ、刺激が入り効くということ」です。もっと単純に言えば、スクワット動作では「しゃがみが深くなるほど、大腿部後面・臀部の筋が鍛えられる」ということになります。

 その証拠として、しゃがみの深さに比例して、筋肉痛の強さと持続期間は強く・長くなっていきます。実際に試していただければ体感できると思います。( まあ「筋肉痛=筋肥大」とは限りませんけどね)


※※※


 U しゃがみの度合いと動作の傾向

 
 質問の中にあった「普通はクォーターやハーフは股関節スクワットといわれて大臀筋を鍛えるために使われていると思っていたのですが・・・」という件ですが、これはどちらかといえば、「筋出力」という角度からアプローチした考え方ですね。
 
 たしかに、クォーター・ハーフの深さでしゃがむ場合、股関節や足関節の柔軟性をさほど気にせず行うことが出来ます。すなわち「骨盤を後ろに振る」、「股関節の伸展−屈曲」だけに意識を集中することが出来ます。それで「クォーターやハーフは股関節スクワット」と呼ぶ場合もあります。

 しかし「クォーター・ハーフ」という考え方は、膝の関節角度だけに目が向いていますから大事なことを見落としがちで、そのことが、あえて私が解説した「クォーターSQ・ハーフSQは、太ももの後面 (ハムストリングス) とお尻 (大殿筋) がパーシャルSQ・フルSQと比較して、鍛えられない」という所以です。
これだと、大腿部後面・臀部が鍛えられる
これだと大腿部後面・臀部への刺激はイマイチ
 このように「骨盤を後ろに振る」動作が入ったスクワットのフォームは、股関節の屈曲−伸展が強調される。(緑線と赤線の角度に注目)

 したがって大腿部後面 (ハムストリングス) ・臀部 (大殿筋) の稼働は比較的良い。
 このように、膝が爪先よりでて、お尻と踵の位置が一致するしゃがみの場合(赤線・青線に注目)、股関節の伸展−屈曲は強調されない。(緑線と赤線の角度に注目)

 したがって大腿部後面 (ハムストリングス) ・臀部 (大殿筋) の稼働は低下し、大腿部前面の筋の稼働が上がる。

 ボディビルダーが太もも前面だけを鍛えたいときに好んで使用する種目「シシー・スクワット」に近い動作になる。

 左側の画像は「骨盤を後ろに振った、股関節の屈曲−伸展を意識したフォーム」で、右の画像は「膝を出した、膝関節の伸展−屈曲のフォーム」です。左右の画像の膝の関節角度は同じですが、全体のフォームはこうも違うのです。
 クォーター・ハーフのフォームは、右側の画像のように「膝が出たフォーム」でも、しゃがむ深さがそれほど深くないので、踵が浮くことはありません。そのことが原因なのが、クォーター・ハーフのしゃがみを採用しているトレーニーの多くはどうしても、右側の画像のような「膝を出した、膝関節の伸展−屈曲のフォーム」になりがちです

 しかし、パーシャル・フルのしゃがみで「膝を出した、膝関節の伸展−屈曲のフォーム」をやってしまえば、大抵の人は ( よほどの足関節に柔軟性がある人は別 ) 踵が浮いてしまいます。

 したがって、パーシャル・フルのしゃがみで踵が浮かないようにするためには、「骨盤を後ろに振った、股関節の屈曲−伸展を意識したフォーム」にせざる終えない。これが私が解説した「クォーターSQ・ハーフSQに比べて、パラレルSQ・フルSQのほうが太もも後面、お尻が鍛えられる」と解説した理由です。

 実際の跳躍動作では、沈み込んだ時の膝の関節角度は100〜110°前後になります。この動作時の太もも後面、お尻の筋出力を高めたり、筋の使い方を学習するためには「クォーター・ハーフのしゃがみ」のスクワットトレーニングは有効ですが、左側の画像のように「骨盤を後ろに振った、股関節の屈曲−伸展のフォーム」意識し、注意しなければ意味はありません。 
 また繰り返しになりますが、クォーター・ハーフの深さでしゃがむ場合は「骨盤を後ろに振る」、「股関節の伸展−屈曲」だけに意識を集中しやすい。このことが「クォーターやハーフは股関節スクワット」言われる所以です。

 ただし、クォーター・ハーフの股関節の角度は、パラレル・フルと比較してそれほど屈曲しませんから「最大伸展・最大収縮」の原則みれば、筋肥大はしにくいということも言えます。


※※※


 以上の二つの理由から、今回の「スクワット講座」ではあえて、「クォーターSQ・ハーフSQは、太ももの後面 (ハムストリングス) とお尻 (大殿筋) がパーシャルSQ・フルSQと比較して、鍛えられないというような解説の方が、分かりやすいかな・・・」という感じで書きました。要はどのしゃがみでも、中身 (動作・フォーム) が大事なんです。うーんトレーニングって勉強すれば、するほど奥が深い・・・・。