X 理想の前傾とは?


 トレーニング・ジムの現場では、スクワットの指導などの際によく「上体を倒しすぎるな!!」とか、「胸を張れ!! (厳密に言えば、前傾と胸を張るこことは違いますけど)」とか言いますよね。

 では実際に「どのような前傾が具体的に理想的なの??」って、あなたの周りの人やトレーナーに聞いてみてくださいよ・・・・ 答えられる人は少ないはず。結構、みんなその辺は明確に把握していないのです。それでも「上体を倒しすぎるな!!」とか指導するのですから、すごい話です。

 しかしトレーニングなどの専門書を紐解いてもなかなか載っていない・・・・。まあそれだけ微妙な事柄とも言えるのでしょうね。

 今回は、これまで私が勉強してきたこと (運動工学、キネシオロジーなど) に、トレーニー・トレーナーとしての経験を加えて、「理想の前傾」とやらを提供したいと思います。(これはあくまでも基準です。もちろん、選択するスタンスや体型、しゃがみの度合いなどによって、多少の個人差はありますよ)


これはまずいね・・・
過剰な前傾  これは過剰前傾の典型的な例です。脛の角度(青の線) と上体の角度(赤の線) が一致していません。

 このようなパターンのフォームの人は「後ろへお尻を振りすぎている」、「上体の前傾に比べて、膝を曲げる意識がない」、「立ち上がる際に、先に膝が伸びて、上体を起こすのが遅れる(後日解説)」などの原因が考えられます。

 もちろん腰への負担はご想像のとおりで、かなり大きいものになります。

 また
スクワット動作の不安定感は顕著です。
 上の画像は現場で頻繁に見られる、過剰前傾の典型的な例ですね。皆さんは、このような過剰前傾を見ると「腰の筋力が弱いからじゃないの?」と思うかもしれませんが、私の経験から言えばむしろその逆ですね。(腰の筋力が弱くて過剰前傾する場合、若干違うパターンの前傾になります。いわゆる「担ぎ負け」ってやつですね)

 このようなパターンの過剰前傾を起こす人の特徴は、「背筋力と比較して脚筋力が弱く、脚の種目のトレーニングを苦手にしている」、「背筋力が強くて、腰の種目のトレーニングを得意としている」という場合が多いのです。理由はなぜか?

 「脚筋力が弱くて苦手にしている」人というのは、反復回数の後半になり、脚が疲労してくると「負荷を脚以外の場所へ逃がしたい」、「得意な背筋を使いたい」という無意識のような中の深層の意識 (このような動作をやっている人に話を聞くと「逃がしたい」、「得意な背筋を使いたい」などという意識は、本人は全く無いようである) が、この動作を出現させてしまっているようです。


いいかんじ!!
理想的な前傾  この画像は理想的な前傾の例です。脛の角度(青の線) と上体の角度(赤の線) が平行になっています。

 
このようなパターンのフォームの利点は「負荷を脚にしっかりと伝えられる」、「腰への負担が少ない」ということも挙げられますが、もう一つ利点があります。それは「シャフトの軌道の安定感」、「スクワット動作の安定感」です。

 高重量が扱えるスクワットを安全に行うためには、この「安定感」というのが一番必要ですね。


 上の画像のようなバランスを保つには、しゃがむ際に「上体が倒れるのとシンクロして、膝を曲げる」という意識が必要ですね。「上体が倒れてきているのに、膝を曲げるのが遅れる・膝を曲げない」というような上体の前傾とシンクロしない動作は、前記したパターンの過剰前傾を引き起こします。

 また立ち上がる際にも注意が必要です。立ち上がる際は「先に上体を起こしてから、膝を伸ばす」という順番で動作を行う意識が大切です。「先に膝が伸びて、上体を起こすのが遅れる」という動作になってしまうと、いわゆる「あおり腰 (ヒップ・アップ動作)が起きて、それも過剰前傾の原因になります。

 とは言っても、スクワットを行っている本人が「脛と角度と上体の角度を平行、平行・・・・」と意識しても、スクワット動作中は自分の前傾の度合いを知るすべはありません。したがって周りの人やトレーナーが、このように基準を明確に持ってアドバイスすることのほうが大切です。そのためにあえて私は「理想の前傾」とやらを提供したのです。








執筆者プロフィールへ メール


Copyright Physical education planning All rights reserved.
許可なく転載を禁じます